公開日
2026年5月21日

プロジェクト型ビジネスの予実・原価管理ツールを4系統で整理し、主要6ツール(Loglass・Scale Cloud・Lychee Redmine・TeamSpirit・ZAC・Talevis)を受託・SI・SES企業の視点で比較。自社の課題タイプ別に、比較時に見るべき観点を提示します。
目次
本記事は Talevis(タレビス)提供会社(株式会社ジャパンコンピューターサービス)が公開しています。比較情報は各社の公開情報をもとに、2026年5月時点で確認した内容に基づいています。導入検討時は各社の最新情報もあわせてご確認ください。
プロジェクト型ビジネスで「予実管理」「原価管理」のツール選定を始めると、検索結果には経営管理クラウド、プロジェクト管理SaaS、工数管理ツール、案件特化型ERPと、起点の異なる製品が並びます。同じ「予実・原価管理」という言葉で語られていても、対象データや運用上の出発点が違うため、いきなり製品比較に入ると判断軸が定まりにくくなります。
受託・SI・SES・コンサルティングのように案件単位で人を動かす事業では、予実・原価は「案件ごとの収益」と「人の配置」が連動して動きます。会計系の予実差分だけ、あるいはタスク管理上の進捗だけを見ても、案件単位の損益や配置変更の影響までは追いきれないという声が増えてきます。
本記事ではまず、プロジェクト予実・原価管理ツールを4つの系統に整理し、各系統から代表的な6ツール(Loglass・Scale Cloud・Lychee Redmine・TeamSpirit・ZAC・Talevis)を取り上げて比較します。そのうえで、自社の課題タイプに応じて、比較時に見るべき観点を整理します。
「予実管理」「原価管理」は本来、全社・部門単位の管理会計から始まった領域です。一方、受託・SI・SES・コンサルなどのプロジェクト型ビジネスでは、収益も原価も案件ごと・期間ごと・配置ごとに分解する必要があります。
予実管理を構成する三つの要素(予算・実績・見込)のうち、運用上もっとも負荷がかかりやすいのは**見込(着地予測)**です。予算は期初に決まれば期中で大きく動かず、実績は勤怠・請求・売上などの基幹システムから自動的に集まります。これに対して見込は、配置変更や契約変更のたびに人手で更新する前提になりやすく、案件数が増えるほど更新作業が積み上がる領域です。
具体的には、次のような事情が重なります。
この結果、全社の予実差分は会計システムで見える一方で、案件単位の見込み利益や配置変更の影響は別ファイルや別作業で突き合わせる、という運用になりがちです。検索結果に並ぶ製品も、どのデータを起点にこの分散を埋めるかで設計思想が分かれます。
本記事では、プロジェクト型ビジネス(特に受託・SI・SES・コンサルティング)における予実・原価管理を主対象とします。製造業や建設業の工事原価管理、量産品の標準原価計算は対象範囲外です。
本記事では、予実・原価管理を主機能として公開情報で確認できる6ツールに絞って比較します。アサイン管理を主軸としつつ予実・原価管理機能を含む近接ツールは、アサイン管理側の検索文脈で扱うため本記事では取り上げません。これらはアサイン管理ツール比較6選|選び方と主要ツールを受託・SI・SES企業向けに整理で整理しています。
本記事で取り上げる6ツールを、自社の出発点別にマッピングすると以下になります。各系統と各ツールの詳細は、後段のプロジェクト予実・原価管理ツールの4系統と主要6ツールの特徴と料金で扱います。
| 自社の出発点 | 系統 | 本記事で取り上げる代表 |
|---|---|---|
| 全社・部門単位の予実差分を効率化したい | 会計系統合型 | Loglass、Scale Cloud |
| プロジェクト進捗とコスト・予算を同じ画面で扱いたい | プロジェクト管理機能拡張型 | Lychee Redmine |
| 工数を起点に案件別の原価を把握したい | 工数起点型 | TeamSpirit |
| アサイン変更と案件別予実を連動させたい | 案件・人材データ起点型 | ZAC、Talevis |
各系統の代表として取り上げているもので、各カテゴリ内の唯一の選択肢を示すものではありません。検討時は同じ系統の他ツールも候補に含めて比較いただくことを前提に、本記事では系統ごとの「起点となるデータ」と「設計思想」の違いを整理します。
プロジェクト予実・原価管理ツールは、何を起点に予実・原価データを組み立てるかによって整理できます。一般的に確立した分類があるわけではないため、本記事では便宜上、起点とするデータで4系統に整理し、各ツールの位置付けを示します。それぞれ得意とする領域と運用前提が異なるため、自社の出発点と合う系統を選ぶことが、ツール比較の前段として有効です。
会計データ(月次決算・実績仕訳)を起点に、全社・部門単位の予算と実績の差分分析を中心に据える系統です。
経営管理・予算策定の視点で全社の予実を整える前提に立ちます。案件・人材データとの直接連動は、外部システム連携を組む構成が一般的です。
ガントチャートやタスク管理を中心としたプロジェクト管理ツールに、コスト・予算管理機能が拡張される形で含まれている系統です。
プロジェクトの進捗管理を中心に据え、そのうえでコスト・予算管理の機能を組み合わせる前提に立ちます。プロジェクト単体での管理粒度に主眼があり、案件横断での原価集計や予実差分の経営報告は、外部ツールと組み合わせるケースが見られます。
メンバーの工数入力を起点に、原価計算・プロジェクト損益・勤怠管理を統合する系統です。
工数の積み上げで案件別の原価をリアルタイムに把握する設計です。勤怠・経費を同一基盤に載せることで、人にかかるコストを起点に予実・原価を扱えます。
案件と人材の対応関係(誰がどの案件に・いつ・どれだけ入っているか)を起点に、予実・原価を組み立てる系統です。
案件・契約・人材・アサインのデータを同一基盤で扱い、配置や契約変更がそのまま予実・原価に反映される設計です。受託・SI・SES・コンサルティングのように、人の配置自体が原価の主要因となる事業との適合度が高い領域として位置付けられます。Talevisはこの系統に属し、特にアサイン変更が予実に直接連動する点を設計の中心に据えています。
プロジェクト予実・原価管理は、多くの企業でExcelやスプレッドシートから始まります。案件数が少なく、月次の予実集計も月末にまとめて作成すれば足りるうちは、これで運用できます。
問題が表面化するのは、次のような条件が重なってきたときです。
このとき表面化するのは「数字が足りないこと」ではなく、数字同士がつながっていないことです。案件・配置・工数・契約・実績がそれぞれ別ファイルにある状態では、変更が入るたびに手作業で突き合わせが必要になり、月次の集計も二次作業の積み重ねになります。
ツール選定で見落とされやすいのは、「予算と実績を並べて見られるか」「案件別の損益が出せるか」といった集計結果を見るための機能に目が向きやすいことです。これは現状把握には有効ですが、案件・契約・配置が動いたときに数字がどう追従するかまでは含まれません。Excel運用で起きていた情報分断が、ツール導入後も別の形で残るのはこの局面です。
このため、プロジェクト予実・原価管理ツールの選定では、「何が見えるか」と同時に、変更が入ったときに数字がどうつながるかを見ることが重要になります。なお、Excelでアサイン管理表を設計する際の項目構成や、Excel運用がツール化に切り替わる条件は、アサイン管理Excelテンプレート【項目設計と稼働率の見える化】で整理しています。
同じ「予実・原価管理を改善したい」でも、出発点と中心課題は企業によって異なります。ツール比較に入る前に、自社の課題がどの領域にあるかを把握しておくと、4系統のうちどれを軸に検討するかが見えやすくなります。
以下のチェックリストで、該当する項目を確認してみてください。
ひとつの目安として、上位2項目(全社予実差分・プロジェクト進捗とコスト)が中心の場合は、会計系統合型またはプロジェクト管理機能拡張型が候補に入ります。
工数を起点に原価を把握したいという項目が中心の場合は、工数起点型が候補に入ります。
下位2項目(アサイン変更の予実連動・部署横断の情報分断)が中心の場合は、案件・人材データ起点型が候補に入ります。単機能のツールを複数組み合わせる構成では、Excel運用で起きていた情報分断が、ツール導入後も別の形で残りやすい領域です。
なお、「アサイン管理」「リソース管理」「要員管理」という別の検索文脈で同じ受託・SI・SES向けツールを整理した記事もあります。アサイン管理の視点ではアサイン管理ツール比較6選|選び方と主要ツールを受託・SI・SES企業向けに整理、リソース管理の視点ではリソース管理ツール比較|4系統の整理と案件アサイン向け主要3ツール、人軸×案件軸の視点では要員管理ツール比較6選|人軸×案件軸で整理する受託・SI・SES向けの選び方もあわせて参考になります。
Loglassは、株式会社ログラスが提供する経営管理クラウドサービスです。予算策定から見込・実績の収集、差分分析までを一つの基盤で扱うことを前提に設計されています。
公式情報で案内されている主な機能
料金(公開情報ベース)
対象として案内されている領域
詳細・最新情報はLoglass公式サイトでご確認ください。
Scale Cloudは、株式会社Scale Cloudが提供する予算策定・予実管理・KPI管理を一元化するクラウドサービスです。
公式情報で案内されている主な機能
料金(公開情報ベース)
対象として案内されている領域
詳細・最新情報はScale Cloud公式サイトでご確認ください。
Lychee Redmine(ライチ・レッドマイン)は、株式会社アジャイルウェアが提供するプロジェクト管理クラウドサービスです。Redmineをベースに、ガントチャートやコストマネジメント機能を拡張する構成です。
公式情報で案内されている主な機能
料金(公開情報ベース)
対象として案内されている領域
詳細・最新情報はLychee Redmine公式サイトでご確認ください。
TeamSpiritは、株式会社チームスピリットが提供する勤怠・工数を起点とした統合型クラウドサービスです。プロジェクト原価管理機能を含みます。
公式情報で案内されている主な機能
料金(公開情報ベース)
対象として案内されている領域
詳細・最新情報はTeamSpirit公式サイトでご確認ください。
ZACは、株式会社オロが提供するプロジェクト型ビジネス向けクラウドERPです。案件・販売・購買・勤怠・工数・経費を一つの基盤で扱うことを前提に設計されています。
公式情報で案内されている主な機能
料金(公開情報ベース)
対象として案内されている領域
詳細・最新情報はZAC公式サイトでご確認ください。
Talevisは、スキル・アサイン・案件・予実を一体で扱うことを前提に設計されたクラウドサービスです。受託・SI・SES・コンサルティングなど、案件単位で人を動かす事業を対象としています。
特徴
予実・原価管理の文脈では、配置や契約の変更が即座に案件別の予実管理(特に見込み利益)に反映される点が特徴です。例えば、
といった形で、配置や契約が動いたときの収益影響を、その場で確認できます。
料金
向いているケース
| ツール | 系統 | 中心領域 | 料金(目安) | 無料トライアル |
|---|---|---|---|---|
| Loglass | 会計系統合型 | 経営管理・予実差分分析 | 個別見積もり | 無料デモ |
| Scale Cloud | 会計系統合型 | 予実管理・KPI一元化 | 月額10万円〜 | 公式サイトに記載なし |
| Lychee Redmine | プロジェクト管理機能拡張型 | プロジェクト管理+コスト・予算管理 | 0〜2,100円/月 | 30日間(スタンダード以上) |
| TeamSpirit | 工数起点型 | 勤怠・工数・原価の統合 | 月額18,000〜40,000円〜(プラン別/50名分相当)+初期費用あり | あり |
| ZAC | 案件・人材データ起点型 | プロジェクト型ERP(販売〜原価) | 個別見積もり | 無料デモ・資料DL |
| Talevis | 案件・人材データ起点型 | アサイン×予実×スキルの統合 | 月額700円/人(最低50,000円/月)・初期費用0円 | あり |
※2026年5月時点で確認した各社の公開情報に基づく整理です。料金・プラン構成は変更される場合があるため、最新・正確な情報は各社の公式サイトでご確認ください。
どのパターンに近いかで、ツール比較時に確認すべきポイントが変わります。機能一覧を網羅的に見比べるより、自社の課題を解くのに必要な観点から評価するほうが、選定の失敗を減らせます。
月次決算後の予実集計に時間がかかっており、差分分析や経営報告を効率化したい段階です。
ツール選定で確認すべき観点
プロジェクトマネージャーがタスク管理と一緒にコスト・予算を扱える状態を作りたい段階です。
ツール選定で確認すべき観点
メンバーの日次工数入力を起点に、案件別の原価が積み上がる仕組みを作りたい段階です。
ツール選定で確認すべき観点
営業・現場・経理で情報が分散し、案件単位の損益や配置変更の影響が後追いでしか見えない段階です。配置・契約・案件・予実を一体で扱う必要が出てきた状態です。
ツール選定で確認すべき観点
Talevisは、4系統のうち案件・人材データ起点型に属し、特にアサイン情報と予実の連動を設計の中心に据えています。
会計系統合型は会計データ、プロジェクト管理機能拡張型はタスク、工数起点型は工数入力を起点に予実・原価を組み立てます。これらに対してTalevisは、案件と人材の対応関係(誰が・どの案件に・どの期間・どの単価で入っているか)を起点に、配置や契約の変更がそのまま予実に反映される構成です。受託・SI・SES・コンサルティングで、人の配置自体が原価の主要因となる事業を主な対象としています。
Talevisが特徴として挙げている設計上の要素は、以下の3点です。
これらは、予実・原価管理を月次集計の効率化ではなく、配置・契約変更を前提とした継続運用の基盤として扱うための設計です。同じ業務を扱う他社サービスと比較検討する際は、各社の最新の対応範囲を公開情報で確認のうえ、自社の課題に最も合う製品を選択することをおすすめします。
Q. 予実・原価管理ツールと会計ソフトの違いは何ですか?
A. 会計ソフトは仕訳・決算・申告など、会計基準に沿った財務会計を中心に扱います。予実・原価管理ツールは、予算と実績の差分分析、案件別損益、プロジェクト原価計算など、経営判断のための管理会計を中心に扱います。会計ソフトとの併用が前提となるケースが多く、会計データを取り込んで予実分析を行う構成も一般的です。
Q. 予実・原価管理ツールとプロジェクト管理ツールの違いは何ですか?
A. プロジェクト管理ツールはタスクや工程の進捗管理を中心に据え、コスト・予算管理を機能の一つとして含む構成が一般的です。予実・原価管理ツール(特に案件・人材データ起点型)は、案件単位の予実管理・原価管理を中心に据え、人材配置・契約・見込み利益までを連動させる構成です。プロジェクト単体の進行管理が中心か、案件横断での損益管理が中心かによって、向く系統が変わります。
Q. 工数管理ツールでは予実・原価管理はできないのですか?
A. 工数管理ツールには、工数の積み上げで案件別の原価を自動計算する機能を備えるものがあります(本記事ではTeamSpiritがこの系統です)。工数を起点に原価を把握したい場合は有力な選択肢になります。一方、案件の契約形態が多様で、アサイン変更や契約変更の影響を予実に直接反映させたい場合は、案件・人材データ起点型のツールも候補に入ります。自社の出発点(工数中心か、案件・配置中心か)で系統を選ぶのが目安になります。
Q. Talevisの料金体系を教えてください。
A. 月額700円/人のユーザー課金制で、最低月額は50,000円/月です。初期費用はかかりません。詳細な契約条件や最新情報は、サービス資料またはお問い合わせにてご確認ください。
Q. 既存のExcel管理からTalevisへの移行は可能ですか?
A. 可能です。メンバー・案件・アサイン情報のインポートに対応しており、Excel/スプレッドシートで管理してきた情報を取り込んで利用を開始できます。メンバー・案件などの管理項目は、ノーコードで追加・変更できます。
Q. 無料トライアルは用意されていますか?
A. 無料トライアルをご用意しています。全機能を試すことができ、クレジットカード登録は不要です。トライアル期間の終了後に自動で課金されることもありません。
NEXT ACTION
アサインと予実の自動連動、任意2時点でのデータ比較、ノーコードでの業務カスタマイズなど、本記事で触れた機能を資料にまとめています。プロジェクト予実・原価管理ツールの比較検討にお役立てください。
株式会社ジャパンコンピューターサービス
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